本のイントロ
セールス、職場の同僚の説得、学校の先生や親を納得させる、友達を誘う、恋人にアプローチする…それらを自分の望む結果(相手の実働)につなげるにはやはりプレゼンスキルがカギとなる。プレゼンスキルと言われ、イメージするのが資料作成や内容の構成、ヴィジュアルや声、雰囲気のコントロールなどだ。
この本はプレゼンにストーリー性を付与することでプレゼンスキルの根本的向上を図ろうと指南している。
図らずとも人は人にストーリーを想像する。勝手にプレゼン自体や人格にストーリーを付与される前に自らストーリーを語ろう。それがプレゼンスキルの根本的向上だ。
この本が示す結論
- 人を動かすのはデータではない。ストーリーだ。
- ストーリーは相手の共感を呼ぶ。自身も感情を出せ。
- 人は苦労話を好む。ストーリー構成は苦労話からの成功を話せ。
- 面白く話せ。ウソをつくのではない、デコレーションしろ。

内容要約
1.人を動かすのはデータではない。ストーリーだ。
資料を見せて「このようになっています…」ではせっかく用意したものが右から左に流れてしまって終わりだ。資料にストーリー性を付与するというのは…
- 米軍の発表では…
- 米海兵隊採用の…
- ジェブ・ベゾスも投資中の…
などと権威を添えるということ。それだけで多くの日本人は資料の価値が高いもののと認識する。特に欧米の属性を付与すると効果は高まるだろう。あとは聞き手が勝手にストーリーを頭の中で盛り上げてくれる。

聞き手のポジションにストーリーを添わせろ。欧米属性のストーリーを付与したあと、その共通性をいくつかあげろ。
- わが社の使用するものと似ている…
- これはみなさんのやろうとしていることだ…
- 文化背景が似ている…
などとストーリーを聞き手に共感させろ。また聞き手は自身の中でストーリーを誇大化させるだろう。それは貴方のプレゼンの効果をさらに高める。

2.ストーリーは相手の共感を呼ぶ。自身も感情を出せ。
プレゼンは単調な事務仕事ではない。相手の心を動かし、実働につなげるビジネスだ。棒読みで伝えらたことはタダの報告。共感にはつながらない。感情を込めろ。それは共感を生む。感情を伝えるコツは内容以外だ。つまり見た目と声、雰囲気など。これは別ページ「プレゼンでは見た目が重要、名著『CLASS ACT』から学ぶセルフブランディング技術」で特記している。今回はあくまで感情を出す源泉はどこかについて示す。

何のためにプレゼンレベルを上げようとしているのか?プレゼンを成功させ、現実社会に動いてもらうためだろう?だったら、なぜモチベーションは語れるはずだ。プレゼンで動かす現実を以て何を成しえるか、成しえたいのかもう一度考えてほしい。モチベーションを思い出せば自然と情熱は湧き出てくる。

3.人は苦労話を好む。ストーリー構成は苦労話からの成功を話せ。
苦労話を語って同情を誘え。惨めな目で見られないように注意が必要だが、ダラダラ話さなければいい。匂わせるのだ。聞き手を共感させ、プレゼンター支持の流れを作ろう。

同情を引いて終わり、だと「がんばれよ」くらいにしか思われない。あくまでビジネスだ。いかに成功につなげたかを話せ。ここは自信を持って話せ。一気にストーリーに引き込めるはずだ。
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4.面白く話せ。ウソをつくのではない、デコレーションしろ。
明石家さんまさんを見習ってほしい。何気ない日常を盛に盛りまくって面白おかしく話す。道端に落ちている小石すらも面白いストーリーを付与してくれるだろう。元奥さんや娘さんから「ウソつき」と言われることもあるようだが、違う。デコレーションしているだけだ。…同じようなものか?
絵を見せるように話せ。相手の頭の中に映画のシーンを画かせるのだ。具体的には…
- 難しい言葉を使うな
頭をよく見せようとする必要はない。プレゼンを成功させるのが目的のはずだ。 - ヴィジュアル資料使用
印象を与えるため写真、絵、映像を織り込め。

人は価値逆転が起こる場合に面白いと感じる。期待以上のコンテンツ、喜怒哀楽の流転。要するに起承転結の「転」を上手く使うんだ。

プレゼンスキルを向上させる全ての技術やコツを使う必要はない。あくまでシンプルイズベスト。煩わしいと感じさせるプレゼンは実行効果が低い。時計を見ろ。事前に時間内で終わらせる最高の形を手に入れろ。それには予行が必要だろう。

さいごに…
当著はストーリーの付与によりプレゼンの質を向上させようとする指南書だ。重要な点を書き出すと…
- 人を動かすのはデータではない。ストーリーだ。
- ストーリーは相手の共感を呼ぶ。自身も感情を出せ。
- 人は苦労話を好む。ストーリー構成は苦労話からの成功を話せ。
- 面白く話せ。ウソをつくのではない、デコレーションしろ。
そして、やりすぎには注意だ。
ワードへのストーリー付与は「匂わせる」程度がいい。
事柄へのストーリー付与は経験を添わせた起承転結がいい。
そして、人格へのストーリー付与は苦労話からの成功がいい。
読者のプレゼンテーションが成功裏に終わるように祈念して最後の辞とさせていただく。プレゼンテーションがんばってください。

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