会社や学校でポジションを取る場合、プレゼン技術はあった方がいいではなく必須スキルだ。
「組織にこう動いて欲しいんだけど…」「予算を自分のところに割いて欲しい…」。もしくは、「学園祭はクラスでたこ焼き屋やりたいけど…」「席決めは生徒個別の発言力を考慮して決定すべきだ…」など組織を説得して自分の思い描いた行動をしてもらいたい時は多いはずだ。
当ページでは名著『プレゼンテーションの基本と常識』によるプレゼン技術向上指南を紹介し、当ページ読者のプレゼン技術向上に与したい。
結論
本著の結論は以下の4点。
- プレゼンの目的は相手を動かすこと。プレゼンを聞いた後、オーディエンスが動かなかったらプレゼンは失敗。
- プレゼンで大切なのは人柄。演出できるから心配するな。
- 第一印象はルックスと声。これは才能の部分があるから何かでカバーしろ。
- 聞き手の勢力によって内容をカスタマイズしろ。説得する相手が一人なのに、普遍的な内容にするな。多勢に個別化された説得をするな。

内容要約
1.プレゼンの目的は相手を動かすこと。プレゼンを聞いた後、オーディエンスが動かなかったらプレゼンは失敗。
動いてもらう以前に、まずは注目させよう。オーディエンスを注目させるには「エピソード法」「ショック法」「質問法」「適応法」「直接法」がある。
- エピソード法
プレゼン、その場に立つに至ったエピソードを話せ。 - ショック法
危機感を煽れ。また、その際はパワーワードを使え。例えば「皇室出禁」。何のプレゼンに役立つか分からないが凄まじいパワーワードだ。 - 質問法
オーディエンスに質問を投げかけるのはイージーな注目法の一つだ。答えを待つ必要はない。注目させるのが目的だから。 - 適応法
アイスブレイク。なんて事ない話で自分の存在を身近に感じてもらおう。 - 直接法
「さっそく本題に入らせてもらいます」と直接結論やメインボディを話せ。後のプレゼンは結論の根拠を述べる時間だ。オーディエンスが検討する猶予を与えることもできる。最後にもう一度結論(要点)を言うことも忘れるな。

動いてもらうには相手が自身で納得して動くだけの根拠(データ)を示した方が早い。そして、データの提示方法には気をつけるべきだ。今はパワポやキーノート、VYONDを使う人もいるだろう。一見、それらは華やかで人目を引きプレゼンにはもってこいのツールに思える。しかし結局はシンプルイズベスト。自身の頭に余るようならペラ紙一枚に収めるような工夫をすべきだ。
- ヴィジュアルツール
結局自分の頭でプレゼンの全体像が理解できていないとそれらツールに振り回されるだけだ。パワポのディスプレイだけ見てオーディエンスを蔑ろにしているプレゼンターを見ることがある。パワポの機能点検でもしているのだろうか。 - アナログツール
もしホワイトボード一枚で完結させれるならそれでいい。資料はプレゼンターのトークの参照、目次的な役割でいい。となれば、ペラ紙一枚で納められることも多いはずだ。

2.プレゼンで大切なのは人柄。演出できるから心配するな。
プレゼンターにはタイプがある。自身がどのタイプが認識して長所を活かせ。
- 感性が豊かで、言語量が豊富なタイプ
明るくてノリが良い。ただ冗長になりやすいので注意せよ。タイムテーブルを作成し、全体像を把握しろ。 - 感性が豊かで、言語量が少ないタイプ
確信を突くのが得意。しかし、言葉足らずにならないように気をつけろ。自身の主張の支援資料参照させながら話すと良い。 - 理性的で、言語量が少ないタイプ
要約されてシンプルなプレゼンを作っていくタイプ。ただ相手の感情を置き去りにしてしまわないか注意せよ。あくまで共感を呼び起こし、組織の行動を引き起こすためのプレゼンだ。 - 理性的で、言語量が豊富なタイプ
指摘されるところが無いようなプレゼンを仕上げてくるだろう。しかし、マウンティングにならないように気をつけろ。何度も言うようだが、オーディエンスに共感してもらい行動させるのがプレゼンだ。上から言いつけるような形は好ましくない。

3.第一印象はルックスと声。これは才能の部分があるから何かでカバーしろ。
一説によると人の印象は55%がルックス、40%が声、話す内容は数%程度だという。
一見、生まれ持ったものなので今日明日で改善できるものではないと思うかもしれない。しかし、ボディじゃない!「見た目」は変えれる。人類には服と化粧がある。ヘアスタイルだって変えれる。
- 人類には服がある。
クタクタな服を着てボロボロの臭そうな靴を履いて登場するつもりか?「清潔」にしておいて損はない。 - 化粧できる。
男だってやっていい。誰も禁止していない。 - ヘアスタイル・髭も変えれる。
白髪染めも良いだろう。髭は…自分で考えよう。

声質の変化は難しいかもしれない。しかし抑揚やスピード、高低、音量といったところは調整可能なはずだ。
- 高い声は明るく聞きやすい。
- 低い声は安心感を与える。
- 速度は理性を感じさせる。
- 遅く話せば父性的な落ち着きを与える。

4.聞き手の勢力によって内容をカスタマイズしろ。説得する相手が一人なのに、普遍的な内容にするな。多勢に個別化された説得をするな。
双方向コミュニケーションが発生しやすい。つまり、反応を見ながら進めていく必要がある。顧客対応などで重要なスキルと言える。この場合は用意していた全体を話すのではなく、個別のニーズに合わせて切り出していった方がいい。大切なのはプレゼン後に自身の思い描く方向に顧客が動いてくれるかだ。相互コミュニケーションのステップとして…
- 課題の明確化
聞き手が食いつくワードを見極めろ。 - ソリューションの提示
聞き手が何に問題を持っているか分かったら解決策を提示せよ。 - 売り込め
自社(自身)の商品を聞き手の解決策とリンクさせろ。

全員に全部伝えたいことを伝えるのは困難。最大多数のニーズを掌握し、自身のプレゼンの方向に誘導せよ。またプレゼンの進め方として以下の三つを勧める。
- 起承転結型
国語の授業で習った通り。実務では「転」を省く場合もあるが、プレゼンでは結論を際立たせるコツとして使おう。 - 結承転提型
この形がビジネスにおけるプレゼンの定番かもしれない。ただ、結論を最後にもおさらいでつけるべきだ。 - 現状-問題-解決作型
最もシンプルなセールストーク(プレゼン)だ。ビジネスにおける「転」の使い方は時として悪手となる場合もある。忙しい方には「まだるっこしい」と思われる場合もあるからだ。このプレゼンの進め方はシンプルでいい。

おわりに…
「プレゼンは準備が命」と教えられ、山のような資料、Q&Aを準備し、予行を何回も繰り返してきたビジネスパーソンは多いだろう。間違いではない。しかし、それらは本当にオーディエンスの行動を変えるためのものだろうか?貴方自身の自己満ではないだろうか?
「プレゼンとは聞き手に実際に行動してもらうことで成功する」。
プレゼン自体の評価は50点でも実際に動いてもらえば成功100点だ。
プレゼンテーションとは元々なんのために行るものなのか、プレゼンに何が大切なのか、一歩立ち止まって考えてみてほしい。
この本の要諦、結論は…
- プレゼンの目的は相手を動かすこと。プレゼンを聞いた後、オーディエンスが動かなかったらプレゼンは失敗。
- プレゼンで大切なのは人柄。演出できるから心配するな。
- 第一印象はルックスと声。これは才能の部分があるから何かでカバーしろ。
- 聞き手の勢力によって内容をカスタマイズしろ。説得する相手が一人なのに、普遍的な内容にするな。多勢に個別化された説得をするな。
当ページの情報により訪問者さんのプレゼンスキル向上に少しでも、何かしらでも役に立てたら幸いです。また読みに来てください。お待ちしています。

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