ゲームソフトは購入後すぐにプレイするために、開封されます。しかし、未開封のままにしている人がいます。なぜでしょう？
未開封のゲームソフトが高値で売れるということを知れば、もしかしてゲームプレイ目的ではなく、投資目的で未開封を選択する方が増えてくるのかも知れません。
本記事では「未開封」を投資手法という観点から評価/分析します。皆様のポートフォリオにインサイトとなる情報となれば幸いです。
未開封という名の投資手法
時間を味方につけた投資手法は数多く存在しますが、『スーパーマリオブラザーズ』（1985年製、NES）が約2億2000万円で落札された例のように、40年で1万倍ものリターンをもたらすケースは稀です。この事例により、未開封のビデオゲームなどの商品を長期保有することが、非常に効果的な投資手法として注目されています。未開封品のレアリティと時間とともに増す文化的価値が、その魅力の根底にあります。
未開封投資のメリット
未開封投資は、高いリターンの可能性、文化的・収集的価値、そして投資ポートフォリオのリスク分散という独特のメリットを提供し、多くの投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
高い資産価値の可能性
未開封投資の最大の魅力は、長期にわたりその価値が顕著に増大する可能性にあります。『スーパーマリオブラザーズ』の例のように、元の購入価格から何万倍もの価値増加を見せるケースがあり、これは伝統的な投資手法では稀です。未開封の状態で保存されたアイテムは、時間が経つにつれて希少性が高まり、それが価値の大幅な上昇を引き起こします。
文化的・収集的価値の付加
未開封投資品は、単なる金銭的価値だけでなく、文化的または収集的な価値を持つ点で、他の投資手法と一線を画します。特定の時代や文化における重要なアイテムとしての価値は、投資としての魅力をさらに高め、コレクター間での需要を生み出します。このような文化的価値は、市場の流行に左右されにくく、長期的な投資価値を提供します。
リスク分散とポートフォリオの安定性
未開封投資は、株式や不動産などの従来の投資手法とは異なる市場の動きを示すため、投資ポートフォリオに多様性をもたらし、全体のリスク分散に寄与します。また、物理的なアイテムとしての存在は、市場の変動に強い安定性を提供し、特に経済的不確実性が高い時期において、資産価値の保存手段となることが期待されます。
未開封投資の注意点
- 市場リスクと価値評価
- 保存と管理
- 流動性と財務的負担
市場リスクと価値評価
未開封品の市場価値は変動性が高く、偽造品の存在や専門知識の必要性がリスクを高めます。投資品の真価を正確に評価するためには、市場動向の理解と詳細な調査が不可欠です。
保存と管理
未開封品の価値を長期にわたって維持するためには、適切な保存条件が必要です。温度、湿度、光などの環境要因が品質に影響を及ぼし、不適切な管理は価値の低下を招きます。
流動性と財務的負担
未開封品の投資は、売却時の流動性の問題や、税金、手数料などの追加コストが発生する可能性があります。これらの財務的負担は、投資の全体的な利益に影響を与えるため、事前の計画と対策が必要です。
40年で定価4,900円が約2億2,000万円のインパクト
2億2,000万円は4,900円の44,897倍です。たしかに40年という歳月が必要な長期投資になりますが、それでも万倍は魅力的すぎます。
他にも同程度のリターンが期待できる投資対象はあるのでしょうか？
ここではその可能性を探ります。
株
株も企業が成長すれば魅力的ですが、倒産の可能性もあります。また、買い付け時のコストが高額になることもあります。
例えば、テスラ株は公開時から150倍程度になっています。マイクロソフトは1,000倍程度です。
投資信託
投資信託はいくつかの株で構成されるポートフォリオなので、数百倍などというレベルに達することはありません。その国の株価平均の成長と共に、値上がりは期待できますが、数巡年単位ですと数十倍がよいところです。ちなみに、日本株で構成されたものであれば値上がりどころか目減りしている可能性すらあります。
ETF
投資信託の値幅と同程度です。数百倍という値上がりは期待できません。
金/銀/銅
金/銀/銅は確かに値上がりはしていますが、数十年で数百倍という成長はありません。数千年前から資産としての地位を確立しており、どちらかというと安定資産に位置付けられます。また、人々の期待も値上がりではなく、安定でしょう。
石油
世界情勢の変化に応じて石油価格は変化しますが、数十倍になることはありません。もし、変動が激しかったら逆に多くの人々の生活、また経済活動は停滞します。
暗号資産
こちらは唯一未開封投資を凌駕する分野です。2009年に1円以下の価値だったところから、2024年次においては400万円前後の値段をつけています。過去最高は770万円程度なので、770万倍以上の値上がりとなります。
未開封投資に適している商品は？
| 特徴 | 説明 |
| 希少性 | 限定生産や入手困難な商品は価値が高まる |
| ブランド/製作者の名声 | 名高いブランドや著名人による商品は高価格を維持 |
| 文化的・歴史的価値 | 時代や文化を象徴するアイテムは歴史的価値がある |
| 保存状態の良さ | 未開封で保存状態が良好な商品は価値が上がる |
| コレクター間の需要 | 人気のあるアイテムは安定した需要がある |
- エンターテイメント関連
- コレクタブルアイテム
- ラグジュアリーアイテム
- 美術品・古美術品
- 酒類
未開封投資に適している商品は、これらの特徴を持ち合わせることで、時間を経るごとにその価値が増していく可能性があります。投資を検討する際には、これらの要素を総合的に評価し、将来性のある商品を選定することが重要です。
エンターテイメント関連
- ビデオゲーム
- 映画・音楽のメディア
- 書籍
ビデオゲーム
『スーパーマリオブラザーズ』1985年製、NES。
既に述べた通り、未開封状態の『スーパーマリオブラザーズ』が約2億2000万円で落札された事例は、ビデオゲーム収集品の投資価値の高さを示しています。このようなレトロゲームや限定版の未開封品は、時間が経つにつれて価値が増加する傾向にあります。
映画・音楽のメディア
ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』。
モノラル版の初版プレスが未開封状態で数百万円から数千万円で取引されることがあります。ビートルズのアルバムは、特に限定版や初期プレスなどが高いコレクター価値を持ち、音楽メディアとしての投資対象として注目されています。
書籍
J.K.ローリング『ハリーポッターと賢者の石』初版。
サイン入りの初版は特に価値が高く、数百万円〜数千万円で取引されることがあります。ハリーポッターシリーズは世界中で人気があり、特に初版やサイン入りのものは、書籍コレクターやファンから高く評価されています。
コレクタブルアイテム
- カードゲーム
- フィギュア・玩具
- コミック・マンガ
カードゲーム
ポケモンカードゲーム「ピカチュウイラストレーター」。
ポケモンカードゲームの中でも特に希少なカードの一つで、限定配布された「ピカチュウイラストレーター」は、カードコレクター間で非常に高価で取引されています。2020年には、約2億5千万円で落札された記録があります。このカードの高価格は、その希少性とポケモンカードゲームの世界的な人気によるものです。
フィギュア・玩具
スター・ウォーズ アクションフィギュア「ビニールケープジャワ」。
1978年にケナー社からリリースされたスター・ウォーズのアクションフィギュアで、特に「ビニールケープジャワ」は非常に希少で価値が高いとされています。未開封状態で数百万円で取引されることもあり、スター・ウォーズコレクターの間では特に名高いアイテムです。
コミック・マンガ
アクションコミックス 第1号「スーパーマン」。
1938年に発行されたアクションコミックス第1号は、スーパーマンが初めて登場したコミックブックであり、アメリカンコミックの歴史における最も重要なアイテムの一つです。未開封または極上の状態で数十億円の価値があるとされ、コミック史における投資価値の高さを象徴しています。
ラグジュアリーアイテム
- 時計・宝飾品
- ファッション
時計・宝飾品
パテック・フィリップ Ref.1518。
パテック・フィリップのRef.1518は、スイスの高級時計ブランドによる最初のシリアル製造されたパーペチュアルカレンダークロノグラフです。特に、ステンレススチール製のモデルは極めて希少で、オークションで数億円で落札された事例があります。限定モデルや希少な素材を使用した時計は、時間と共にその価値が高まる傾向にあります。
ファッション
シュプリームとルイ・ヴィトンのコラボレーションアイテム。
ストリートウェアの代名詞であるシュプリームと、ラグジュアリーブランドのルイ・ヴィトンが2017年に行ったコラボレーションは、ファッション業界で大きな話題を呼びました。このコラボレーションから生まれたアイテムは、リリース直後から高値で取引され、特に未開封の状態で保管されているアイテムは、コレクターの間で高い価値を持ちます。
美術品・古美術品
- バンクシーの作品「Girl with Balloon」
- 江戸時代の未使用の甲冑
バンクシーの作品「Girl with Balloon」
バンクシーの作品は、社会的メッセージと独特な表現スタイルで高く評価されており、特に未開封のサイン入りプリントは、アートコレクターの間で高い価値を持ちます。オークションやプライベートセールでは、数十億円で取引されることがあります。
ただし、作品が不法に取り除かれて持っていかれたりといった事例があります。値上がりするからといって、勝手に作品を保存するのはやめましょう。
江戸時代の未使用の甲冑
古美術品の中でも特に希少価値が高いのは、未使用の状態で残された歴史的な工芸品です。古くから続く家系には何かあるのではないでしょうか？
例えば、完全な状態で残された江戸時代の甲冑は、その美術的価値と歴史的重要性から、古美術品コレクターによって高く評価されます。未使用で保存状態が良好な甲冑は、数千万円から数億円で取引されることがあり、日本の武士文化への洞察を提供します。
こちらは、日本からの持ち出しが多くなっています。欧米で骨董品として買われているのが大きな要因です。日本政府は何らかの対策をする必要があるでしょう。
酒類
- ワイン
- ウイスキー
- ブランデー
- 日本酒
- 焼酎
酒類の未開封投資における有名な事例を、異なる種類の酒ごとに紹介します。酒も記録的な価格で取引されたり、投資家やコレクターに注目されたりしています。
ワイン
シャトー・ラフィット・ロートシルト 1869年。
このボルドーワインは、2010年のオークションで3本約2,000万円で落札されました。シャトー・ラフィット・ロートシルトは、その卓越した品質と長い歴史で知られており、特に古いヴィンテージは高い価値を持ちます。
ウイスキー
ダルモア 62年。
1943年に蒸留され、2002年にボトリングされたこのシングルモルトスコッチウイスキーは、わずか12本しか生産されませんでした。2011年に1本が約1,300万円で落札されています。
ブランデー
ゴーティエ 1762年。
このコニャックは、世界で最も古いブランデーの一つとされ、2020年に約1,600万円でオークションにて落札されました。ゴーティエのこのボトルは、その希少性と歴史的価値で注目されています。
日本酒
獺祭 磨きその先へ。
獺祭（だっさい）は山口県の旭酒造が製造する日本酒で、特に「磨きその先へ」は、極限まで精米を行った超高級日本酒として知られています。限定生産品は、その希少性から高価で取引されることがあり、日本酒コレクターの間で特に価値があるとされています。
焼酎
森伊蔵。
鹿児島県の森伊蔵酒造が製造する芋焼酎「森伊蔵」は、希少性と品質の高さから、高額で取引されることがあります。特に、未開封の限定品や特別なボトルは、オークションやセカンダリーマーケットで高い価値を示します。
森伊蔵は抽選式で購入者を選定していますので、もしかしたら買えるかもしれません。エントリーは無料なので、よいかもしれません。
未開封投資が難しい理由
未開封投資はとても魅力的ですが、一般的には難しい戦略といわれています。ここでは未開封投資が難しいといわれている理由を分かりやすく解説します。
適切な保存環境の維持が必要
未開封品を最適な状態で保存するためには、温度、湿度、光の条件を厳密に管理する必要があります。例えば、紙製品は湿度に敏感で色あせやカビのリスクがあり、電子機器は温度変化によって劣化する可能性があります。これらの条件を常に一定に保つことは、特に個人コレクターにとっては困難です。
物理的なダメージのリスク
保存中に物理的なダメージを避けることは挑戦的です。振動や圧力、偶発的な衝撃などによって、未開封品のパッケージや本体に損傷が生じる可能性があります。特に移動や保管の際には、細心の注意が必要です。
化学的劣化の可能性
材料の老化による化学的劣化も、長期保存において懸念される問題です。例えば、プラスチック製品は時間とともに変色したり、粘着性が増すなどの化学的変化を起こすことがあります。これらの変化は、保存状態にかかわらず避けられない場合があります。
経済的コスト
適切な保存環境を維持するためには、専用の保管設備や環境制御システムが必要になることがあり、これには相応の経済的コストが伴います。また、保険の加入など、未開封品を守るための追加的な費用も考慮する必要があります。
長期的な流動性の欠如
未開封品を長期にわたって保存するということは、その間、資産としての流動性を失うことを意味します。急な資金需要や市場状況の変化に対応するために、資産を迅速に現金化することが困難になる可能性があります。
まとめ
本記事を通じて、「未開封投資」の可能性とその実践方法について掘り下げました。未開封の商品が時間を超えて価値を増す過程は、投資家にとって新たな視点を提供します。この手法がすべての投資家に適しているわけではありませんが、リスク管理と市場の洞察に基づけば、顕著なリターンを実現する可能性を秘めています。未開封投資に興味を持たれた方は、さらなる情報収集と慎重な検討をお勧めします。
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