SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)という米国で行われる最先端のテクノロジー企業やイノベーターが集まる、巨大なクリエイティブ・ビジネス・フェス。そのSXSWで発表された、実用化される前の研究段階のものから未来を読み解く。

未来予報株式会社:2016年9月設立。「まだ世の中にないモノやサービスを一緒に育てる」をコンセプトに、製品のリサーチ、コンセプト設計、ブランディングを専門に行う。

1.毎年アメリカで開催されるSXSWでは、多くの革新的な技術が発表されている。
2.人口増加に伴う食糧危機への対応として、「人口培養肉」などの「細胞農業」の研究が推進中。
3.電力のネットワーク化「スマートグリッド」が米国で実施中。
4.ウエラブルデバイスの進化。
・食糧不足を解決する動き
「細胞農業」の研究が進んでいる。それは畜産業のコスト上昇の観点、動物愛護の観点からも注目されていくだろう。しかし、現段階で末端価格が高すぎる。

・食の安全性を確保する動き
農作物生産過程を追う事のできるサービス、企業、取り組みが増えている。それは生産者にとって負担とならないよう自動モニタリング、インターネットの活用で為される。また、都会での立体栽培が進む。これにより消費者が身近に生産現場を確認することができる。

・新しい基準の交通インフラ構築
ハイパーループのように速度による革新。トライメットのアプリのように電車、バス、車などのインフラをまとめるシステムの構築。交通手段は共有化され、いずれ趣味以外では所有されなくなる。

・省エネ・創エネで持続可能な社会を実現
「スマートメーター」を使用し、「スマートグリッド」を拡張し、自分たちで使うエネルギーを自分たちで作る地域を「スマートコミュニティ」に進化させる。社会実験が行われている町では38%もの節電ができた。著者は「スマートシティエンジニア」が必要になってくるとも言っているが、これはハードウェアの配置のことだろうか?少なくともソフト面でのデザインはインターネット空間で世界的に淘汰され、独自のオリジナリティは必要なくなるのではないか?

・音楽・映像販売での変革
今までの音楽会社頼みの儲けは無くなりつつある。クリエイターは個々人で販売経路を確立し、大手のサブスクリプションサービスに搾取され続ける未来を回避しなければならない。
また、ストーリーが消費者個人の人生背景にカスタマイズされる時代がくるかもしれない。それは映画の最終回が消費者好みのものとなったり、気分に合わせた音楽を自動でその空間に流すといったサービスに繋がってくるかもしれない。
そして、現実と空想との境目が非常に分かりづらくなり、製作者側はそれらにコンプライアンスを求められるようになるかもしれない。

・ウエラブルの進化
現在注目されている素材が「バイオファブリケーション」。バイオテクノロジーを用いて、植物・昆虫・動物由来の繊維や皮革を生産する技術だ。革の生産過程などで労働環境や環境問題などを解決するために科学的に現在の被服素地を開発、生産していく。クモの糸なども日本のスタートアップ、スパイバー社が開発を成功させている。
人間の能力を拡張または補填する器具の進化も予想される。それは外部筋肉のような形で人間の微細な筋肉信号を感知し、それを助長、補填、もしくは機械の動きと代替する。

最後に…
イノベーションによって旧時代の雇用と能力は消えていくのかもしれない。しかし、それを補って余りあるスマートな未来が待っているとするならば、そちらへ向けて力を発揮し続けるのがいいだろう。そして、そこには新しい仕事ができていくだろう。

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